故事成語の意味と例文

2015年3月25日

故事成語の意味と例文の自主学習ノート

ここでは、故事成語(こじせいご)の自主学習ノートの例をご紹介します。

また、記事の後半では、特に有名な下記の故事成語について、読みかた、もとになった話、意味、例文もまとめています。

  • 矛盾
  • 漁夫の利
  • 四面楚歌
  • 推敲
  • 杜撰
  • 他山の石
  • 蛇足
  • 虎の威を借る狐
  • 背水の陣

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故事成語とは

古くから言い伝えられている、教訓等の意味をもつ言葉のうち、中国の古い書物がもとになっている言葉を「故事成語」といいます。

  1. 故事成語の意味を調べて書く
  2. 故事成語を使った文を考えて書く

言葉を読んだだけでは、意味が類推しにくいものも多くあります。辞書を引いて書き、例文も考えて書くことで、自分の言葉として身につけることを目指しましょう。

故事成語の自主学習ノート

3つの故事成語について、意味を調べ、例文を考えて書く学習をすることにします。ノートにタイトルを書き、罫線を引くなどして、準備をしましょう。

始めには、故事成語とは何かを、まとめて書くらんをもうけました。

故事成語b

国語辞典、または、ことわざや故事成語の辞書を使って、意味を調べて書きましょう。辞書に載っている意味を書き写してもいいですし、自分なりの言葉でまとめて書くのも良い学習になると思います。

故事成語a

例文を考えるのは、ちょっと難しいかもしれません。自分で思いつけない場合は、辞書に書いてある例文を書き写す学習としてもいいと思います。

故事成語のいろいろ

ことわざなのか、故事成語なのか、わかりにくいものも多いですね。

どちらも、古くから言い習わされてきた、教訓や風刺の意味を持つ言葉です。その中で、中国の古い話がもとになっているものを、特に故事成語といいます。ことわざの中には、何がもとになってできた言葉なのか不明なものも含まれているので、この二つに厳密な違いはないといえます。

ことわざか、故事成語か、という区別にはあまりこだわる必要はないのではと考えます。

ただし、「矛盾(むじゅん)」「漁夫の利(ぎょふのり)」など言葉だけではなく、そのもとになった中国の古い話の方も有名な故事成語もあります。こういったものは、ことわざというよりやはり「故事成語」として覚えた方がいいでしょう。

有名な故事成語のもとになった話・意味・例文

特に有名な故事成語について、もとになった話、意味、例文をまとめてみました。(例解国語辞典を参考に、小学校高学年から中学生ぐらいの方が自主学習ノート作りとしてまとめるとしたら…と文章を考えたものです)

矛盾(むじゅん)

もとになった話

 

矛(ほこ)は長い柄(え)のついた剣のこと。商人が、盾(たて)を売るときは「どんな矛で突いても破れない盾だ」と言い、矛を売るときは「どんな盾でも破る矛だ」と言った。それを聞いた人が「ではその矛で盾をを突くとどうなるか」と聞くと、商人は返事に困ったという。

意味:前に言ったことと、後に言ったことのつじつまが合わないこと。

  • 例文1:彼の言いわけは矛盾している。
  • 例文2:やせたいと言いながらケーキを食べる母の言動は矛盾している。

漁夫の利(ぎょふのり)

もとになった話

 

シギ(鳥)がハマグリ(貝)を食べようとしたが、ハマグリがからを閉じて抵抗した。争っていたところ、通りすがりの漁師が両方とも捕ってしまった。

意味:ひとが争っている間に、別の人が利益をさらっていくこと。

  • 例文1:彼の優勝は漁夫の利だった。
  • 例文2:二つの国が争っている間に、別の国が漁夫の利を得て勢力を拡大した。

四面楚歌(しめんそか)

もとになった話

 

楚漢戦争(そかんせんそう)において、西楚の項羽(こうう)軍は劣勢で、漢の劉邦(りゅうほう)軍に取り囲まれていた。ある夜、劉邦軍の兵士たちが楚の歌を歌う声を聞いて、項羽は、楚の人たちがみんな敵に寝返ってしまったのかと驚いたという話。

意味:四方すべてを敵に囲まれていること。

  • 例文1:将棋(しょうぎ)で四面楚歌の局面を打開する一手を見つけた。
  • 例文2:けいどろで前後左右から警察にかこまれ、まさに四面楚歌だ。

推敲(すいこう)

もとになった話

 

唐の詩人賈島 (かとう) が、「僧は推す月下の門」という詩を思いついたが、「推す(おす)」を「敲く(たたく)」にした方がいいかどうか悩み、韓愈※にアドバイスを求めてようやく「敲く」に決めた。

※韓愈(かんゆ):唐の文人で、唐宗八大家の一人。

意味:詩や文章をより良いものにしようと何度も考えること。

  • 例文1:彼は読書感想文を推敲しなかった。
  • 例文2:小説の推敲を重ねたところ、最初に書いたものとはまったくちがう話になった。

杜撰(ずさん)

もとになった話

 

宋の杜黙(ともく)という詩人の作った詩が、様式に合わないものが多かったことからという説などがある。

意味:まちがいが多くいいかげんなこと

  • 例文1:この店は商品の管理が杜撰だ。
  • 例文2:杜撰な計画で登山をするのは危険だ。

他山の石(たざんのいし)

もとになった話

 

「詩経」に、「他の山から出た質の悪い石で、自分の宝石をみがくことができる」という意味の言葉がある。

意味:他人の誤った言動も、自分の向上の助けとなることがあるということ。

  • 例文1:彼の失敗を他山の石としよう。
  • 例文2:事件の犯人を責めるだけではなく、他山の石として自分をかえりみる機会とするべきだ。

蛇足(だそく)

もとになった話

 

蛇(へび)の絵を速く描く競争で、最初に描き終えた人が「まだ描き足す余裕がある」といって足まで描いてしまったため負けた。

意味:不必要なつけたしをすること。

(話につけ足しをするときに謙遜して「まことに蛇足ではございますが…」等と使うこともある。この場合、実際は不必要な内容ではないこともある)

  • 例文1:彼の作文は最後の一行が蛇足だ。
  • 例文2:この文具を気に入っていたのに、蛇足な機能がついて使いにくくなった。

虎の威を借る狐(とらのいをかるきつね)

もとになった話

 

トラに食べられそうになったキツネが、「わたしは神から百獣の王に任命された者だから食べてはならない。嘘だと思うならついてきなさい」と言う。トラがキツネについていくと、出会う動物たちがみんな逃げていく。動物たちはトラを恐れて逃げているのだが、トラはそのことに気づかず、キツネが百獣の王だと信じてしまう。

意味:自分は弱いのに、強いものの力を借りていばる者

  • 例文1:彼は兄と一緒の時だけは強気で、虎の威を借る狐のようだ。
  • 例文2:彼のような虎の威を借る狐は、一人になると急におとなしくなるものだ。

背水の陣(はいすいのじん)

もとになった話

 

漢の韓信(かんしん)が、あえて川が後ろにある場所に陣をかまえ、兵士たちに絶対に退却できないという覚悟をさせて戦いにのぞみ、勝利した。

意味:絶対にしりぞいたり失敗したりできない覚悟を決め、全力でのぞむこと。

  • 例文1:全国大会進出のかかった試合に背水の陣を敷く。
  • 例文2:すべり止めの学校は受験せず、志望校に背水の陣でのぞむ。

中国の書物がもとになっているだけあって、難しい漢字が使われている故事成語が多いですね。

もとになった中国の話を、ここではごく短くまとめましたので、もっとくわしく調べて、あらすじを書く学習などもやってみると力がつきます。工夫して取り組んでみて下さい。

ことわざ、四字熟語、故事成語を集めたこちらの記事も、よろしければご覧ください。