『小学生の学力は「ノート」で伸びる!』を読みました。
『小学生の学力は「ノート」で伸びる!』は、親野智可等(おやのちから)さんという方が書いた本です。
すばる舎から2009年に出版されました。
この方は、20年以上小学校の先生として子供たちに教えた経験を生かして、現在は講演や執筆のお仕事をされているそうです。
「親力で決まる子供の将来」というメールマガジンを発行されています。子どもの教育について悩んでいる親の気持ちを楽にしてくれる内容のメルマガで、子供への声のかけ方、勉強を見てあげる際の心構えなど、とても具体的で、すぐに実行できるような提案が多く参考になります。
親野智可等さんが書かれた小学生のノートに関する本が、こちらです。内容を、少し紹介してみたいと思います。
親が子供のノートを見るということ
この本は次のような5章から成っています。
- 第1章 子どもの学力は「ノート」でつくられる
- 第2章 親がノートを見るときに大切なことは?
- 第3章 親子で実践!「構造的」に書くノート術
- 第4章 低学年のうちに「書く力」が身につくコツ
- 第5章 「発展的ノート術」で子どもはどこまでも伸びる!
小学生の子供のノートを長年見て来られた経験から、どんな見方をして、どんな働きかけをすれば、子供はノート作りを好きになり、学力が伸びるのかが、この本で解説されています。
今は親が、子どもの学校の宿題をみなければならないようになってはいるものの、ノートの見方、子供にどう働きかけたらいいのか、悪いのかを教えてもらう機会は、あまりないですね。
そのため、言わなくていいようなことを言ってしまったり、言ってはいけないようなことまで言ってしまったりします。
宿題が親子の悩みの種となっている家庭も多いのではないでしょうか。
我が子のことなので、客観的に見るのも難しい…。というか、客観的に見ることなんか、そもそもできないようになってるんじゃないんですかね、親って。
親が下手に勉強を見たり口出しをしたりしない方が、子供はやる気をそがれず、伸びるんじゃないのかなぁなんて、思えてくることもあるほどです。
でも、宿題も家庭学習も、親の責任でしっかりやらせて下さい、と学校からは言われますよね。
なので、できるだけ、子供のやる気をつぶさないような、できればやる気が出てくるような、ノートの見方を学びたいと思い、この本を読んでみました。
ノートの3つの機能
ノートは、何のために書くのでしょうか。この本によると、ノートには次の3つの機能があります。
- 記録のため
- 思考のため
- 練習のため
記録のためというのは、授業で先生が黒板に書いたことを写したり、先生や友達が言ったことを書いたりすることです。
思考のためというのは、図を描いて応用問題を考えたり、仮説を立てて結果を導き出そうとしたりすることです。
練習のためというのは、漢字や計算などを、繰り返し書いて練習することです。
この3つの機能に合わせたノートの取り方を、小学生のうちに覚えることが望ましいようです。
この本では、ノートの取り方として「構造的に書く」「グイグイ書く」の2つの方法を紹介しています。ノートを取る目的に合わせて、この2つのどちらに重点を置くか、使い分けます。すごく難しそうに思えますが、そのようにノートを取れるようになっていくことを、目指しましょうということです。
構造的にノートを書く
- 見出しをつける
- 問題に番号をふる
- 余白をとる
等々、この本には、構造的にノートを取るためのコツが具体的に詳しく説明されています。構造的なノートを作ることにより、構造的にものを考えられるようになっていくといいます。
とても興味深く思ったのですが、「構造的にノートを書けない子は学力が低い」「学力が高い子は構造的にノートを書ける」ということではない、と書かれています。構造的にノートを書くのが苦手だけど学力が高い子というのも、中にはいるのですね。
構造的にノートを書く習慣をつけることで、今よりも学力を上げることができる、ということは言えるそうです。
ノート作りが苦手で損をする?
- 字が汚くても、学力は高い子がいる。
- ノートはめちゃくちゃだけど、学力が高い子がいる。
というのを聞くと、学力が高いなら字が汚くても、ノートはめちゃくちゃでもいいんじゃない?と思えたりもするのですが、この本にはこういうことも書いてあります。
ノートをちゃんととれないと、中学生になると「学習意欲がない」「授業態度が悪い」という評価をされかねないのだそうです。
自分の考えを持っていて、挙手をして発表するのが得意でも、ノートやプリントに考えを書いて提出できなければ評価にはつながらないのですね。
うちの子は、ノートが割とめちゃくちゃ系なので、これを読んでうーん…とうなってしまいました。
この本には、字の丁寧さよりも、速く勢いに乗って書くことの大切さが述べられているのですが、実際、字が汚いというのも、評価的には損ですよね。
字が汚いというのを、勢いがあっていいね!と肯定的に見てくれる先生は、実際はあまりいないんじゃないでしょうか。どうでしょう。
なので、学校に提出する宿題のプリントや、「自主学習ノート」「家庭学習ノート」の場合は、テストの時と同じぐらいの丁寧さでやらなくてはならないような気がしてしまうんです。
学校に提出しない、親にも見せないノートとして「裏ノート」「自由ノート」というのも、この本で提案されていますので、取り入れてみようかなと思っています。
子どものノートへの親の関わり方
子どものノートは先生まかせにせず、親も見てあげた方がいいと勧めています。ただし、褒めるために見るのだそうです。
欠点を指摘して直させるのではなく、褒めることが大事。
好きなことをノートに書く→ノートを書くのが好きになる→ノートに書くことが習慣になる
この良い連鎖に子どもを乗せてあげる手伝いをすることが、親にできることなのかもしれません。
決して、ダメ出しをしたり、より良いノートの作り方をアドバイスすることではなく。たまに見て叱るというのが、一番よくないそうです。はい。気をつけたいと思います…
子どもをノート好きにする12の合言葉
子どもへの声のかけ方が、12の「合言葉」としてまとめられています。
実際に先生として、教室で子供たちに声をかけて反応を実感されてきた経験がもとになっているので、すごく効果ありそうな気がしますよね。
「満員電車は?」「息苦しい!」
「満員ノートは?」「見苦しい!」
といった合言葉で…
家でやるのはちょっと気恥ずかしいんですけど。ノリのいいキャラのお母さん、ぜひ挑戦してみてください。
うちはダメ…明るく合言葉を言ったつもりが、息子に「ママどうしたの?」とけげんな顔をされそうです。子どもの心を開くような声のかけ方が大事、ということは覚えておきたいと思います。
このように、とても具体的に、ノートの作り方のポイントや子供への声のかけ方が解説されています。
とっても読みやすい本でした。この方の文章は、「そんな子どもへの接し方じゃダメだ」と責められているような気がしないので、助かります(笑)
宿題や家庭学習を見てあげるのが、ちょっと苦痛に感じるような時や、もっと子どもにいい働きかけ方はないか探している方に、この本をおすすめしたいと思います。
※この記事は2015/2/9に投稿しました。その後内容を見直し、2017/12/14に改稿しました。