英検S-CBTと通常の英検の違い【2022年度】
このページでは、2022年度の英検S-CBTの日程や試験内容、検定料などについて従来型の英検と比較して違いをまとめています。
1人1台のコンピュータを使って受験する英検S-CBTは、今のところ準1級、2級、準2級、3級にだけ対応しています。この級を受験する方にとっては、とてもメリットが多い受験方法です。
小中学生のお子さんに英検を受験させようと思っている方に参考にしていただけるとうれしいです。
一次試験とニ次試験を別の日に行う従来型の英検についてまとめた記事もぜひお読みください。
英検S-CBTとは
英検S-CBTは、通常の英検と同じく、公益財団法人日本英語検定協会が実施する検定試験です。
英検S-CBTはこんな試験
- 問題形式は従来型の英検と同じ
- 問題の難易度は従来型の英検と同じ
- 従来型の英検と同じ級の合格が認定される
- 4技能のCSEスコアも出る
- 英検CBTの結果は、従来型の英検と同じ英語力の証明となる
このように共通点も多い従来型の英検と英検S-CBTには、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
試験を受ける方法の違い
英検S-CBTと従来型の英検の最も大きな違い、それは「試験を受ける方法」です。
従来型の実用英語技能検定(英検)の試験では、紙の問題用紙と解答用紙が配られます。受験する方は、鉛筆やシャープペンシルを使って、マークシートにマークしたり、英文を書いたりします。
ライティングの解答方法は筆記も選べる
英検S-CBTはコンピュータを使って受ける試験です。解答方法は次のようになっています。
- Writing:手書きの「筆記型」とキーボードで入力する「タイピング型」のどちらにするか選択できる。
- Reading、Listening:マウスの操作で選択肢から選んで解答する。
キーボードをタイピングして英文を入力するのが苦手な方でも、マウスの操作ができれば、問題なく試験を受けられるようになっています。
また、3級から1級の二次試験では、面接官と対面で「話す力」をみる試験を受けます。(こういった方式で試験を受ける英検を、この記事では「従来型の英検」と呼んでいます)
英検S-CBTは、それとは異なり、会場で1人1台のコンピュータを使って受験します。コンピュータ画面の表示や音声で問題が出され、受験生はマウスやキーボードを操作して答えます。「話す力」をみる試験は、コンピュータとヘッドセットを使い、音声を録音して行われます。
一日で4技能の試験を受ける英検S-CBT
従来型の英検の3級、準2級、2級、準1級、1級は、まず一次試験があり、それに合格した人だけが二次試験を受けます。
英検S-CBTは、受ける人全員が、1回の検定試験を1日で受けます。
英検S-CBTと従来型の英検の違い
さらに、英検S-CBTと従来型の英検には次のような違いがあります。一つ一つ見ていきましょう。
受けられる級の違い
英検の級は、1級から5級まであります。
このうち英検S-CBTで受験することができるのは
- 準1級
- 2級
- 準2級
- 3級
この4つの級だけです。
英検S-CBTで合格(級認定)すれば、従来型の英検の級認定と同じことになります。
受けられる会場の違い
英検S-CBTは全国47都道府県に、数多くのテストセンターがあります。
- 全国47都道府県に1か所以上のテストセンターを配置
- 原則として毎週土曜日・日曜日実施
- 一部会場においては、平日・祝日も実施
試験会場も、試験を受ける日も、従来型の英検よりもずっと選択の幅が広くなっています。
英検S-CBTの日程
英検S-CBTの日程は、従来型の英検(第1回から第3回)に対応しています。
- 従来型の英検の第1回検定に対応する英検CBT:4月、5月、6月、7月
- 従来型の英検の第2回検定に対応する英検CBTが:8月、9月、10月、11月
- 従来型の英検の第3回検定に対応する英検CBTが:12月、1月、2月、3月
受験のチャンスが増える
英検S-CBTで同じ級の受験申し込みができるのは検定回ごとに2回です。
1回の検定につき、従来型の英検を1回、と英検S-CBTを2回と、最大3回受けることができるようになりました。
英検S-CBTの検定料
2022年度(2022年1月21日19時以降申し込み分から)の英検S-CBTの検定料(税込)です。
準1級 | 9,900円 |
---|---|
2級 | 9,000円 |
準2級 | 8,500円 |
3級 | 7,200円 |
参考:2022年度の従来型の英検の検定料(個人で受ける場合)
従来型の英検本会場の検定料(税込)
1級 | 11,800円 |
---|---|
準1級 | 9,800円 |
2級 | 8,400円 |
準2級 | 7,900円 |
3級 | 6,400円 |
4級 | 4,500円 |
5級 | 3,900円 |
英検S-CBTの試験時間
級 | スピーキング | リスニング | リーディング・ ライティング |
---|---|---|---|
準1級 | 15分 | 30分 | 90分 |
2級 | 15分 | 25分 | 85分 |
準2級 | 15分 | 25分 | 75分 |
3級 | 15分 | 25分 | 50分 |
リスニングと、リーディング・ライティングの試験時間は、各級とも従来型の英検と同じです。
「話す力」をみるテストの違い
従来型の英検の3級から1級は、二次試験として面接による「話す力」をみるテストがあります。
英検S-CBTでは、コンピュータに接続したヘッドセットを装着してスピーキングの試験を受けます。
コンピュータの画面に面接官の顔や、問題文、イラストが表示されます。音声を聞き、話す音声を録音したり、画面の選択肢をクリックしたりして解答します。
面接官とリアルタイムで話すわけではなく、録画の画面と音声を聞いて、自分の答えを録音します。
従来型の英検と英検S-CBTの解答方法の違い
リスニング、リーディング
従来型の英検:マークシートに印刷された選択肢を鉛筆で塗って解答します。
英検S-CBT:画面に表示される選択肢をクリックして解答します。
ライティング
従来型の英検:英文を手書きで解答します。
英検S-CBT:次の2つの方式から選択します
- 手書き…手で英文を書きます。
- タイピング…キーボードで英文を入力します。
スピーキング
従来型の英検(3級から1級):面接官がいる部屋に入り、1対1で実際に会話をします。
英検S-CBT:コンピュータに接続したヘッドセットを装着して、画面の表示を見たり音声を聞いたりして、自分の話す音声を録音します。
英検S-CBTと従来型の英検の対策の違いは?
問題構成、問題形式、難易度が同じですので、従来型の英検と同じ対策で大丈夫です。
ただ、ライティングの試験をタイピング方式で解答したい場合は、必要に応じて、英文をキーボードで入力する練習をすると良いと思います。
コンピュータの操作はどの程度できる必要があるか
英検S-CBTを受験するためには、コンピュータの簡単な操作ができる必要があります。
マウスによる操作で試験の進行や解答を行います。
ライティングテストをタイピング方式で解答するには、1分間に30文字を入力できるタイプスピードがあれば問題ないとのことですが、タイピングに自信のない方は手書き方式を選択すると安心です。
英検S-CBTにも一次試験免除はある?
従来型の英検には、一次試験免除の制度があります。1~3級の一次試験に合格し、二次試験には合格しなかった人は、次回受験する際に申請をすれば、一次試験が免除となり、二次試験だけを受けることができます。免除される期間は1年間です。
英検S-CBTは、すべての受験者が1日で4技能の試験を受けるため、一次試験免除はありません。
英検S-CBTを受けてリーディング、ライティング、リスニングの3技能のスコアが合格基準を満たし、スピーキングのスコアが合格基準を満たさず不合格となった人が、1年間以内に同じ級の従来型の英検を受ける際には、申請をすれば一次試験免除となります。
英検S-CBTを小学生が受けることはできる?
英検S-CBTは年齢・職業・学歴などを問わず受験できます。したがって、小学生が受験することも可能です。
ただし、試験中に保護者がつきそうことはできませんので、同じ会場で試験を受けている他の人の迷惑になるようなことをせずに、1人で試験を受けられるかどうか、親の責任で判断して受験させるかどうかを決めてください。
英検S-CBTを受験するためには、パソコンの操作ができることが必要ですので、その点も問題ないかどうか確認してください。
従来型の英検と英検S-CBTどっちを受けたらいいの?
5級、4級、1級を受けたい方
→従来型の英検を受けましょう。(5級、4級、1級は、英検S-CBTはありません)
準1級、2級、準2級、3級を受けたい方
パソコンの操作に不安がある
→従来型の英検をおすすめします。キーボードで英文を入力することはできないがマウスの操作は問題ないということであれば、ライティングの解答方法に手書き方式を選択すれば、受験できるかもしれません。
忙しいから1日で試験を受けたい
→英検S-CBTを検討してみると良いと思います。
従来型の英検の日程で都合がつかない
→英検S-CBTは原則毎週土日実施(準1級は原則日曜実施)。参加日程の選択肢が多いです。
受験のチャンスを増やしたい
→1回の検定回につき、従来型の英検を1回、英検S-CBTを2回と、最大3回受けることができます。受験の機会が増えます。
さいごに
英検S-CBTは、1人1台のコンピュータで受験する英検です。
原則として毎週土日に開催され、1日で4技能の試験を受けることができるという点で、従来の英検よりも受験しやすくなっていると思います。
文部科学省が進めていた大学入試英語成績提供システムの導入は、令和6年度まで延期するという発表がありました。いま小学生のお子さんたちが大学入試を迎えるころには、導入されているでしょうか。
現在でも、英検をはじめとする民間試験を独自に入試に活用する高校、大学等は多くあります。英語の力を証明する資格として、英検を目標に勉強をしていくことには大きな意義があると考えています。
うちの子どもは中学までは英検を目標に勉強をがんばって3級まで取りました。その後進学した学校ではTOEICを受けることになっているため、今はTOEICの勉強をしています。
※この記事は定期的に内容を見直し、改稿しています。最終更新日は2022年1月14日です。