ムーミン谷の彗星

3年生の息子が、このごろ読んで気に入った様子だった本。

新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)

私自身大好きな作品なので、息子には適切な時期をちゃんと見計らって、ムーミンと素敵な出会いをさせてあげようなんぞと思っていたことが、あったような気がする。

ところが息子はこの本を、1〜2年前にすでに読んだらしい。

「これ読んだことあったっけ?」と聞くと…

「あるよ」と息子。

「そっか。学級文庫か何かで読んだかな」

「いや、家にあるよ」

そんなまぬけなやりとりが…

買ったことも、一度は息子が読んだことも忘れて、今回また、図書館から借りてきたのだった。そろそろ息子に、ムーミンと出会わせてあげてもいいか、なんて思って。

「でもどんな話か忘れたから、また読むよ」

このごろ、長い本を、寝る前に少しずつ、日数をかけて読むという楽しみを見つけた息子は、このムーミン谷の彗星も、そうしてちょっとずつ味わうことに決めたらしかった。

こういうほのぼのしたお話は、息子はどうかな、あんまり好きでもないかもな、と思ったのだけど、あぁおもしろかったとニコニコしながら読了していた。

登場するキャラクターの言ったこと、したことを、いろいろ教えてくれたりする。あの子、こんなこと言ったんだよ、可笑しいと思わない?と。まるで学校で自分の友達が話したことを教えてくれるみたいに。

あの、宝物を見つけて、秘密にしたいけれど、言いたくてたまらない、かわいいスニフのことなどを。

子どもの頃、ムーミンのテレビアニメを、「そこそこおもしろいけれども、小さい子向けのお話ね」などと思いながら見たことがあった。

大人になってから、岸田京子さんがムーミンの声をされているシリーズの再放送をたまたまテレビで見て、驚いた。こんな素敵なお話だったなんて。子供の頃は、気づけなかった。

本も読み、大好きになり、いつか自分の子供にも読んでほしいと思うようになった。

今思うと、子どもの頃は、登場人物たちと同じ目線で、あの世界を見ていたのかもしれない。変な子がいてやだな、とかモラン怖いとか…

なんて言ったらいいのかな。

その世界の中に入って、その世界の中から、ムーミンの世界を見ていたというか。ほら、夢だと気がつかずに夢を見ている時のような。目が覚めれば、つじつまがあわないことだらけだと気づくのに、夢の中にいる時は、おかしいとも思わずに、その世界を受け入れている。

大人になってから見るムーミンの世界は、これは夢だと知りつつ、夢を見ているような。あの世界を、外から見ている。

そうして「微笑ましい」とか、「ミィをにくめない」だとか「なんともいえないユーモア」なんていう、外から目線な感想を抱くのだ。

もう私が、あの世界の中で、ムーミンたちと出会うことは、きっとないのだろう。

いま息子は、ムーミンたちと、ムーミンの世界の中で出会っているのかな。そんなことを、ふと思った。

気に入った本が見つかって、よかった。しばらくは、ムーミンシリーズを続けて借りて来ようと思う。

読書男子

Posted by shino