漢字の練習方法とコツ-基本編-5つのステップ
小学生の漢字の練習方法について説明します。
子供が学校の宿題で漢字練習をしているだけでは、テストで思うような点数が取れない時、どうしますか?
書店に行くと、小学生向けの漢字ドリルがたくさん売られていますね。
漢字を学びながら語彙を増やすというもの、美しい文字を書く練習にもなるものなど、工夫をこらした内容のものもあります。
良さそうなものを買い、子供に与えて、これで漢字に関しては一安心だろうと思っていると…
あまり成果が上がりません。
「ウチの子は、どうも漢字が苦手らしい」と早々にレッテルを貼ってしまう…
そんな対応の仕方をしていませんか?
漢字を覚えるのには、コツがあります。
このコツを知らずに、なんとなく漢字を学習して、覚えられないからといって「苦手だからしょうがない」と嘆いているとしたら、もったいないことです。
どうやって漢字を学習したらいいのか、これからくわしく書いていきます。
なお、この記事は「5つのステップ」として詳しく漢字の学習方法を書き、とても長い記事になっています。漢字を覚えるためのコツをもっと短くまとめた記事もありますので、短時間でチェックしたい方は、こちらの記事をお読みください。
基本の漢字学習方法-手順
子供によって、学び方にも個性があります。同じ方法で誰にでも同じ学習効果があるとは限りません。
でもここでは、多くのお子さんに成果が上がると思われる、基本の漢字学習方法を、詳しく説明します。
このようなステップで学習をしていきます。
- 手本を見ながらゆっくり数回書く。
- 何も見ずに書いてみる。
- ひらがなを見て漢字を書くミニテスト。
- 範囲を広げた漢字テスト。
- 忘れた頃に、さらに範囲を広げた漢字テスト。
1.手本を見ながら、ゆっくり数回書く。
手本をよく見ながら、漢字を何回か書きましょう。筆順、とめ、はらいなどにも注意します。
書く回数ですが、とりあえず、ゆっくり2回書きましょうか。漢字の形と筆順を、よく見ながら、ゆっくり2回です。
この時、どんな教材を使ったらいいでしょうか。
教材を選ぶ際に、確認して頂きたいのは、次の2点です。
- 正しい漢字が見やすく書かれていること
- 筆順もわかるようになっていること
たとえばこのような教材を使いましょう。
学校の教科書
教科書に、新しく習う漢字の一覧があると思います。教科書の後ろのページ等を見てみてくださいね。
国語の教科書には、漢字の正しい形だけではなく、いろいろな読みかた、熟語、筆順なども書かれています。
これを見ながら、ノートに書いていきます。自主学習ノート、家庭学習ノートに、この学習をすることもできます。
学校の副教材の漢字ドリル
学校から、授業で習う順に漢字を学習できる「漢字ドリル」「ワークブック」などが配布されている場合は、それを使います。これが日々の宿題になっているところもあると思いますので、使い方は担任の先生の指示に従ってください。
ドリルに書き込んで学習し、一度書き込んだ後に繰り返し学習したい場合は、ドリルに載っている手本を見ながら、ノートに書いていきます。
漢字辞典(漢字字典)
1年生で習う漢字から、6年生で習う漢字まで、学年別に掲載されている、小学生用の漢字辞典があります。
うちの子供が1年生の時に、学校の斡旋で購入したのはこのページの一番上の写真にもちらっと写っている「小学 漢字の字典」でした。これは子供がとてもよく読み、使い込んでいます。
学校で漢字辞典の引き方を習う際には、箱入りの漢字辞典も購入しましたが、いまだに普段の勉強で子供がよく使っているのは、実はこの字典だったりします。
使いやすい小学生用の辞典を見ながら、ノートに漢字を書く練習をするのもおすすめです。
市販の教材など
市販の教材から選んで頂くのも良いと思いますが、学校で習う漢字の予習と復習を中心に、漢字学習を進めようと思われる場合は、教科書準拠のものを選ばないと、学習の進め方に迷いが出てしまう可能性があります。
学校で習うのとは別に、漢字の学習を独自に進めたいという場合は、お子さんに合った教材を選んで頂いていいと思います。市販のドリル、問題集や参考書の他、通信教育の教材などがあります。
インターネット上で配布されているプリントでもいいと思いますが、やはり筆順や文字の形が正確でないとまずいので、質の良いものを選ぶようにして下さい。
教科書準拠の漢字の教材を購入する場合は、お使いの教科書と学年をよく確かめて下さい。教科書、学年によっては、対応した問題集のないものもあります。
ではここまで、ステップ1をまとめます。
筆順も書かれた手本をよく見ながら、ゆっくり、2回書きましょう。
2.何も見ずに書いてみる
次にすることは、手本と、今自分が書いた文字を隠すことです。手で隠れるなら手でもいいですし、他のノートや紙でもいいです。さっと隠してしまいましょう。
そして、手本を見ずに書いてみましょう。1回でいいです。
書けたら、隠していた手本を見て、筆順や、とめ、はらいなどが正しく書けていたかどうか、確認します。
正しく書けていたら、こう自分に問いかけてください「覚えたかな?」
「よし、覚えた」と自分で思えたら、ステップ3へ進みます。
ちょっとアヤフヤかな?と思ったら、またステップ1に戻り、2回書いてきてください。その後また隠して1回書く。「覚えたかな?」と自問する。このように、続けます。
この「1→2」を、何回繰り返してもいいんです。1回で「よし、覚えた」になった方が偉いとか、平均3回でそれ以上になる子はちょっと…とか、そういうことは全くありませんから、自分に正直に。
3.ひらがなを見て漢字を書くミニテスト
新しく覚えた漢字が少したまってきたら、ミニテストをして確認しましょう。いろんなスケジュールが考えられます。たとえば…
- 最近一週間に新しく覚えた漢字について、土曜日にミニテストをする
- 10個の漢字を覚えるごとにミニテストをする
- 教科書の単元が1つ終わったら、その単元のミニテストをする
「読み」の方は宿題だけでバッチリ大丈夫、というお子さんの場合は、「ひらがなを見て漢字で書く」テストだけでいいでしょう。
このミニテストをどうやって作るかというと……
ステップ1と2で覚えた後に、サッと問題を書いておくだけです。
1.しょうがっこうににゅうがくする。
2.おんなのせんせい
このように、シンプルな問題でOKです。
ノートを用意してもいいですし、紙に書いて机の前に貼っておいてもいいです。
「問題が10個たまったらミニテストをする」「土曜日にミニテストをする」などと自分で決めてやりましょう。
これを自主学習ノート、家庭学習ノートに書いて学習するのもいいと思います。
教科書準拠の問題集を使う場合は、小さな範囲の確認テストから、出題範囲の大きな総復習テストへと順に出題されるので、問題集の通りにやっていき、間違えたところはステップ1と2に戻って復習すればOKです。
また、学校で習うのとは別に、通信教育のカリキュラムに沿って、または独自で市販の教材を選んで漢字学習を進める場合は、ステップ3と4のところはあてはまりませんので、お使いの教材に合わせて学習を進め、間違えた漢字や覚えにくいと感じる漢字については、ステップ1と2を繰り返すという形で進めてみて下さい。
4.範囲を広げた漢字テスト
これは、数か月に一度行います。テストのボリュームとしては、「書き」のテストで1~2年生なら20問、3~4年生は30~40問、5~6年生は50問ぐらいのテストを、数日にわけてやってもいいでしょう。「読み」も確認しておきたい場合は、それ以外に読みのテストも同じぐらいの問題数でプラスします。
ミニテスト数回ぶんをまとめて再び行うのでもいいですが、できれば漢字の出題順や問題文がミニテストとは違う漢字テストがいいです。
やはり、親が問題を作ってあげられたら何よりですが、3~4年生くらいになると習う漢字も多くてかなり大変だと思います。
- 副教材の確認テストをまとめてもう一回やる。
この場合は、問題のバリエーションがちょっと物足りないので、覚えにくそうな漢字だけでも、問題を新しく追加するよう考えてみると尚良いと思います。 - 夏休みや冬休みなどの宿題として出される漢字ドリルや漢字テスト。
これも分量が少なければ、問題を追加することを考えてみましょう。 - 教科書準拠の問題集を使っている場合はそれを利用。
問題を解いて、親が丸つけをして、できるだけ細かいところまでよく見てあげましょう。
よく見ると線が一本多いとか、はねてはいけないところをはねているとか、気づかず丸にしてしまうと、子供はそれが正しいと思って覚えてしまいますので。
間違えた漢字や、覚えにくいと本人が思っている漢字は、「ステップ1、2」に戻って復習します。要復習の漢字だけでテストを作っておき、2日後ぐらいにやってみましょう。ここでも間違えたら、また「ステップ1、2」に戻りますが、完璧を目指して暗い夏休みにならないよう、できるだけ頑張ればいいと思います。
5.忘れた頃に、さらに範囲を広げた漢字テスト
学年末などに行います。その学年で習った漢字の総復習です。
春休みの早い時期に、一度に行うのではなく、数日にわけて行うといいですね。
その学年で習う漢字を一通り習い終えた時期に行うテストですので、この時に選ぶテストは、教科書準拠かどうかを気にする必要はなくなります。漢字検定の過去問をやってみて、手ごたえがあれば、ついでに漢検にも挑戦してしまう、というのもいいんじゃないでしょうか。
漢字以外の学習も含めて、学年の総復習ドリルに取り組んでみるのもおすすめです。
間違えた漢字、ちょっと思い出すのに苦労した漢字は、必ず書き出しておき、1~2のステップに戻って復習をします。そして、間違えた漢字のテストを作っておき、しばらくたってからもう一度解いてみましょう。
毎回ノートを出してきてきちんと書けるようでしたらそれが一番いいですが、メモ用紙に、さっと問題を何問か書いて、学習机に置いておくとか、ふでばこにテープで軽く貼っておくといったやり方でもいいと思います。目についた時に、さっと漢字の確認ができます。
そこでもまた間違えた漢字はまた戻って…とくり返します。
あまり完璧にと思わず、本人が納得するところまでやらせたらいいと思います。
もしなかなか覚えられない漢字があるようでも、親は「その漢字を覚える機会が今しかないってわけじゃあるまいし」ぐらいに思っているぐらいがいいのではないでしょうか。
漢字の覚え方まとめ
5つのステップを、もう一度おさらいしましょう。
- 手本をよく見ながら、ゆっくり2回書く。
- 手本を隠して書いてみる。
- ひらがなを見て漢字を書くミニテスト。
- 範囲を広げた漢字テスト。学期末など。
- もっと範囲を広げた漢字テスト。学年末など。
この中でのポイントは、なんといっても、ステップ2です。見ないで書いてみること。
漢字は、覚えるだけではなく、思い出して書けなくてはいけないですよね。
「覚える」「ずっと覚えている」「思い出して書く」この、どれもが大事ですが、覚える訓練はみんな必死にやるんですが、思い出す方の訓練を、案外忘れがちではないでしょうか。
「思い出して書く」練習のために、見ないで書くことを取り入れます。そして「ずっと覚えている」「思い出して書く」ためにいろんな範囲で、繰り返し漢字テストで確認をするのです。
最後に
長くなってしまいましたが、多くの子供に効果的と思われる漢字の学習方法を、私なりに、説明してみました。なんとなく良さそう、と思って頂けたら、ぜひ、試してみてくださいね。
書いていて思い出したんですが、昔は、もっともっと、繰り返し漢字を書いて学習しませんでしたか?
「回数多く書けば手が覚える!」なんて言われて、私も子供の頃は、信じて実行していました。
回数多く書くことに意味がないとはいいません。良い手本を見ながら丁寧に繰り返し書けば、美しい文字を書けるようになるでしょう。
また、黙々と机に向かい、漢字ノートを埋める学習により、忍耐力が養われるという意義もあるのではないでしょうか。
でも、覚えるためのコツは、それとはまた少し違っていると今は思っています。
「この子は漢字が苦手なんだ」と親が決めつけてしまわないよう、お子さんに合ったやり方を探していきましょう。