読書感想文におすすめの本-学年別の短編集

今日は、読書感想文を書くための本の選び方について書いてみたいと思います。
そして、読書感想文を書きやすいおすすめの本として、学年別の短編集をご紹介します。
本を選ぶ際の参考にしていただけるとうれしいです。
このページに書いていることは、文章を書くのがあまり得意でない方や、読書感想文を書くのが苦手と思っている方に向けています。
読書感想文を書くのが得意な方は、自分の好きな本を選んで、ぜひ楽しんで書いてください。
また、コンクールで賞をとることを目指す方、受験等の目的で模範的な読書感想文を書こうとされている方向けの記事ではありませんので、ご了承ください。
こんな方におすすめ
- 読書感想文を書くのが苦手
- 本を読んでも読書感想文に書くことを思いつけない
- 読書感想文を書くのにどんな本を読んだらいいかわからない
- 短時間で読書感想文を書く必要がある
こんななやみを持っている方が、夏休みに本を読み、自分の力で読書感想文を書いて提出することができるように、この記事を考えました。
読書感想文を書くための本の選び方
読書を楽しむためなら、気が向くままにいろんな本を読んでみるのがいいと思います。
でも、読書感想文を書くことが目的の場合は、何でもいいというわけではありません。読書感想文を書きやすい本とそうでない本があるんです。
すごくおもしろいんだけど、読んで役にたつけど、でも読書感想文は書きにくい、という本もあります。
普段から、本を読むときに次のことを考えてみましょう。
本に書いてあることを読んで「自分にもこんなことがあった」「自分はこれとは反対の経験をした」など、自分の経験を思い出して書けそうかどうか。
本に書いてあることを読んで「もし自分だったらどうするだろうか」と想像して書けそうかどうか。

かんたんな例をあげると、うさぎとかめのお話を読んで「自分が得意なことを油断して失敗した経験」について思い出して書く、といった具合です。
登場人物の身になって考えを深められそうだったら、きっとその本でいい読書感想文を書けるでしょう。
- 主人公が大変でもあきらめずにがんばった内容の本を読んで、自分が習いごと等でがんばっていることについて思い出して書く。
- 困った時にだれかが助けてくれるお話を読んで、家族や友達に助けてもらった経験を思い出して書く。
- 生き物の命について書かれた本を読んで、自分がいっしょにくらしている動物のことについて書く。
普段から読書をしていて、こんなふうに考えを深めて書けそうな本を見つけたら、読書感想文を書く本の候補として、メモするなりして覚えておくといいでしょう。
いろんな本を読んでいる時間はない場合
でも、もう夏休みが終わるところで、今からいろんな本を読んでる時間はない、という人もいるでしょう。
そんな方におすすめなのが、学年別の短編集です。
学年別の短編集とは

学年別に、短いお話が10編ほど集められている本がいろんな出版社から発売されています。
学校での読書の時間に読む本としてぴったりなので、図書室や学級文庫に置かれていたりするかもしれませんね。
こういった学年別の短編集は、読書感想文を書くための作品を選ぶのにも適しています。
学年別の短編集の特徴
名作を中心に、その学年でぜひ読んでおきたい作品が、1冊の中に10編前後、集められています。
昔の作品から現代の作品まで、小説、エッセイ、推理ものとバラエティゆたかな作品を少しずついろいろ読むことで、読書への興味の幅を広げることができます。
ひとつひとつのお話は短く完結しています。
学年ごとになっているだけあって、漢字や言葉、お話の内容がむずかしすぎるということがなくて、読みやすいのが特徴です。
難しい言葉や昔の言葉に解説がついている本もあります。
学年別の短編集の主なシリーズ
学年別の短編集の主なシリーズをあげてみます。
- 学研「10分で読める」シリーズ
- 講談社「イッキに読める!」シリーズ
- ポプラ社「読書の時間に読む本」シリーズ
- 成美堂出版「読んでおきたい名作」シリーズ
ひとつずつ紹介していきます。
学研「10分で読める」シリーズ
学研から「10分で読める〇〇」シリーズがいろいろ出ています。
- 「10分で読める名作」シリーズ
- 「10分で読めるお話」シリーズ
- 「10分で読める物語」シリーズ
- 「10分で読める伝記」シリーズ
それぞれ1年生~6年生まであります。テーマがわかりやすい、初めて読書感想文を書くのに適した作品が多くおさめられています。
この本を読めば、読書感想文を書けそうな作品を、1つや2つ見つけられる方が多いのではないでしょうか。迷ったらこのシリーズがおすすめです。
本を読んで「自分もこんなことがあった」「もしも自分だったらどうするだろうか」と考えを深めることができそうな作品ならば、きっとよい読書感想文を書けます。
このシリーズには「お話を読み終わって」というコーナーがあります。本におさめられている全部の作品について、あらすじや読書のポイントなどが短くまとめられていて、読書感想文を書くための良い手がかりになりそうです。
「10分で読める」シリーズから、いくつかの作品を紹介します。
暗い道を、心細い思いをしながら家へと走ったことはありますか。
何かで「しまった」と思った経験、強いきんちょうの後家族の顔を見たとたんにホッとしてなみだが出そうになった経験があれば、思い出して書くのもいいと思います。
作品の中にある「良平はほとんど泣きそうになった。が、泣いてもしかたがないと思った。泣いている場合ではないとも思った。」という部分について、どんな気持ちだったのか、想像してみましょう。
「トロッコ」がおさめられている本『10分で読める名作 5年生』
会いたいのに今は会えない、まほうのシャボン玉にして会いたい人や、動物のことを書いてみるのも良いかもしれません。
ハボンスのえらんだ道ややったことについてどう思いますか? 自分だったらどうするか、想像してみてください。
「ハボンスの手紙」がおさめられている本『10分で読める名作 6年生』
「イッキに読める!」シリーズ
作品ごとに、著者の斎藤孝さんが選んだ「好きな文章ベスト3」と、1ページぶんの解説がついています。
作品のどこに注目して読むといいのかがわかり、読書感想文を書く時のいいヒントにもなると思います。
4・5・6年生と読みましたが、すごくおもしろいけど読書感想文は書きにくそうだなと思う作品が多めでした。読書感想文を書きやすいと感じるかどうかは、人によってちがいますが、それでも……
昭和時代の大人と子供の関係をえがいた作品がなぜか多いです。読むのはとてもおもしろくて心に残る作品ばかりですが、今とだいぶちがうことも多いので、自分にぐっと引き寄せて考えを深めるのには工夫がいりそうです。
他にはごく短い作品、ストーリーのおもしろさが魅力の作品、雰囲気がしゃれている作品など…これから読んでほしい様々なタイプの作品を少しずつ紹介する目的で作られている本のようです。
遠い土地に住んでいる人や、外国から来た人等、言葉や風習がちがう人と交流して、ちがいにおどろいたことはありますか?
この本に書かれてあることとくらべながら、自分の経験したことを書いてみるとおもしろい読書感想文になりそうです。
「ガリバー旅行記-飛ぶ島(ラピュータ)」がおさめられている本『イッキに読める!名作選 4年生』
スポーツをがんばっている人は、練習のことや、うまくなりたいという願いを文章にしてみましょう。仲間と心が通い合ったと思ったことがあれば、そういうことを書くのもいいですね。
スポーツは楽しむもの、という祖父の言葉に主人公はどんな反応をしたでしょうか。その理由を考えて書いてみるのも良いかもしれません。
「バッテリー」がおさめられている本『イッキに読める!名作選 5年生』(この本におさめられているのは長い作品の一部です)
もし自分が喜助の立場だったらどうするか、考えて書いてみましょう。事件の後、どんな気持ちになるでしょうか。
また本の中に出てくる「たるを知る」という言葉の意味を調べ、その言葉についてどう思うかを書くのも良いでしょう。
- 足りないもののことを考えて不満を持ってくらすより、足るを知って生きた方が幸せだと思う。
- 今持っているもので満足するのは本当にいいことだろうか? 欲しいものを手に入れ、やりたいことをやるためにがんばる方がいいのではないか。
といった、いろんな考えがあると思います。
「高瀬舟」がおさめられている本『イッキに読める!名作選 6年生』
「読書の時間に読む本」シリーズ
ほどよい長さで、今の子供が読んでテーマを理解しやすそうなお話が多いです。
登場人物の身になって考えを深められそうな作品もあり、読書感想文を書くための本を探している方におすすめです。
ふるさとについてのお話です。自分のふるさとのいいところについて書いてみるのはどうでしょうか。もしふるさとがなくなってしまうとしたら、どう思いますか。
都会に出ていく人もいれば、不便でも、自分が生まれ育った場所で、自然に感謝してくらす人たちもいます。自分だったらどうするか想像して書いてみてください。
「おばあちゃんは木になった」がおさめられている本『読書の時間に読む本 5年生2』
生まれつきの体のつくりという、自分にはどうしようもない理由で、林からぬけだせなくなってしまった鳥のお話です。
生まれつき持っているもののちがいで、くやしい思いをした経験があれば、それについて思い出して書いてみると良いかもしれません。運命と思ってあきらめるのが当然か、それとも…といったところまで考えを深められたらすごいと思います。
「防風林のできごと」がおさめられている本『読書の時間に読む本 6年生1』
「読んでおきたい名作」シリーズ
一度は読んでおきたい有名な作品が集められています。朝の10分読書や音読にもおすすめとのことです。
こういった古くからの名作というのは、読書感想文を書きやすいとはいえない作品も多いです。下の2作品を選ぶのにも、正直かなり悩みました。
もし自分だったらどうするか、と考えられそうなところを探して、そこから作品の世界に入っていくことができれば良い読書感想文を書けるのではないかと思います。
動物の親子を見たことがあれば、その経験を書いてみるのも良いでしょう。実際に見たことだけでなく、テレビ、動画、本などで見たことでもいいと思います。
もしも自分がきけんな目にあったら、親はどうするだろうかと想像して書いてみるのもいいかもしれません。
「月の輪ぐま」がおさめられている本『読んでおきたい名作 5年生』
仙人に助けてもらいながら何度もあやまちをくりかえした杜子春のことをどう思いますか。自分だったらどうするか考えて書いてみてください。
この物語の続きを考えて書いてみるのもいいですね。杜子春はこれから、どんな生活をしていくでしょうか。
「杜子春」がおさめられている本『読んでおきたい名作 6年生』
他にもこんな本が読書感想文におすすめ
読書感想文におすすめの本として、学年別の短編集を紹介しましたが、他にはこのような本もおすすめです。
- 絵本
- 昔話
- 伝記(スポーツ選手や研究者)
読書感想文を書くのが苦手と感じている方や、短時間で書かなくてはいけない方には、ストーリーやテーマがはっきりしている、短めの本がおすすめです。
こちらの記事でも読書感想文を書きやすい本を紹介しています。
姉妹サイトのこちらでも、読書感想文を書くのにおすすめの本を紹介しています。
読書感想文を書きにくい本
自分の体験と結びつけて考えを深めて書けるかどうかで決まるので、読書感想文を書きやすい本というのは、人によってちがいます。
あくまでも私個人の意見ではありますが、読書感想文を書くのがむずかしいと感じるのは次のような本です。
長い本
長い本は、どこに焦点をあてて書けばいいか決めるのがむずかしいです。それに、長い本を何度も読み返しながら読書感想文を書くのは非常に大変です。
実は大人向けの作品
大人目線からみた子供の心の美しさをえがいた作品などは、子供が読書感想文を書くのはむずかしい場合があると思います。
青年の悲しさが子供のうつくしさとの対比で際立つ作品で、子どもの側から感想を書くのはむずかしいのではないかと思います。
「うた時計」がおさめられている本『読んでおきたい名作 5年生』
昔の価値観やネガティブなテーマ
現代では受け入れにくい過去の価値観がテーマの作品や、ネガティブなものは、小学生の読書感想文を書く本としてはむずかしい場合があります。
人間に裏切られた人魚が復讐する話。復讐の是非については置いておいて、老夫婦に恩を感じてけんめいに働いた人魚の尊さに焦点を当てると書きやすいかもしれません。
「赤いろうそくと人魚」がおさめられている本『読んでおきたい名作 6年』
ストーリーのおもしろさが魅力の作品
たとえばこのような作品……
- 注文の多い料理店/宮沢賢治
- 耳なし芳一/小泉八雲
おもしろいので、これで読書感想文を書きたい、と思う方も多いかと思うのですが、書こうとすると「おもしろかった」以外に書くことがなかなか思いつかないという……
ぜひ読んで、読書の楽しさを味わってほしい作品ですが、読書感想文を書くのはむずかしいんですよね。なぜむずかしいかというと……
自分の体験と結びつけ考えを深めて書くのがむずかしい!
探偵もの、ホラーなども「おもしろかった」という感想から深めて書くのがむずかしい作品があります。
読書感想文を書くのがむずかしい作品で読書感想文を書きたい場合は、心に残った登場人物のセリフや文章に注目して書くと良いかもしれません。
読書感想文の書き方の動画
読書感想文を書くための本の選び方について書きました。
これをもとにして、読書感想文の書き方についての動画も作りました。
こちらもぜひご覧ください!
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