読書感想文の書き出しのヒントと例文集
読書感想文の書き出し方を、例文とともに説明します。夏休みの宿題で読書感想文を書こうとしていて、ヒントがほしい小学生や、お子さんにアドバイスをしてあげたいと思われている親御さんへ向けての記事です。
読書感想文で、書き出しはとても大事です。読む人を引きつけ、続きを読みたいと思わせるような書き出しが理想ですが、むずかしいものですね。
自分で気に入った書き出しを思いつくことができたら、その後もスラスラと続けて書けたりするもの。書き出しが気に入らないと、なかなか先を思いつけません。
ここでは、基本的な書き出しから、工夫した書き出し、そしてちょっと変わった書き出しなど、読書感想文の書き出しを、例文をまじえて紹介します。
読書感想を書く際のヒントにしていただけたらと思います。
ふつうの書き出し
わたしは夏休みに「ふしぎの国のアリス」を読みました。
こういう書き出しで読書感想文を書き始める人が多いのではないでしょうか。「とりあえず読書感想文を書き出しました」という感じですね。
もう少し工夫してみましょう。
夏休みに、とてもおもしろい本を読みました。「ファーブルの夏ものがたり」という本です。
「へぇ、とてもおもしろい本なんだ。どんな本なんだろう?」と思わせる書き出しです。この後、どんなところがおもしろいかを書き進めていくとよさそうですね。
本とであったきっかけから書き出す
どうしてその本を読もうと思ったかを書いて、読書感想文の書き出しとする方法があります。
夏休みに「竜退治の騎士になる方法」という本を読みました。おもしろいからと、兄がすすめてくれた本でした。
お兄さんがすすめてくれたことが、この本を読んだきっかけだったのですね。なるほどよくわかりますが、ちなみにこんな風にくわしく書く例もあります。
夏休みに兄が「これおもしろいから、読んでみたら」と本をかしてくれました。いつもほとんどマンガしか読まない兄が、おもしろいと言うのだから、きっとすごくおもしろいにちがいない。わたしはそう思い、さっそくその本を読み始めました。そして、あまりのおもしろさに、昼食の時間もわすれて、一気に最後まで読んでしまいました。それが、わたしとこの本「竜退治の騎士になる方法」との出会いでした。
お兄さんが言ったこと、自分が思ったことを入れて、どれぐらいおもしろかったのかを伝えるようにくわしく書いています。
本を読むきっかけは、色々ありますね。上に書いたように、人にすすめられて読む場合があります。他にも、こんな理由があるでしょう。
- 教科書に載っている作品の作者が書いた、他の作品も読んでみたいと思った
- タイトルにひかれた
- 表紙の絵が好き
- 書店や図書館のおすすめ本のコーナーにあった
たとえば、タイトルにひかれて本を選んだ場合の例。
この本の題名を見て、読んでみたいと思いました。ぼくは野球を習っていますが、まだ試合でホームランを打ったことが一度もないからです。
どうしてこの本を読もうと思ったかということを、自分の経験や、言ったこと、思ったことを入れてくわしく書いてみると、他の人にも「おもしろそうだな」「どんな本だろう」と思ってもらえるような読書感想文の書き出しになると思います。
心に残った文章をぬき出す書き出し
本を読んでいて、「力強くてかっこいい文章」「きれいですてきな言葉」などを見つけたら、それを読書感想文の書き出しにするのもいい方法です。
作品の中で大事な意味を持つ言葉、心に残る登場人物のせりふがあったら、それを書き写して書き出しとするのもおすすめです。
「おばあちゃん、大好き」まいはこの本の中で、何度かこの言葉を口にします。一度目は…
擬音語、擬態語をぬき出すのも、おもしろい書き出しになります。
「ピーン、ロロロロ、ポロロロ、ポーン」これは、王さまが、はこにウソをしまう時の音です。
本に書かれた場面にいるようなつもりで
例えば、伝記やスポーツ選手の自伝で、表彰された時のことを読んだとしたら、自分がもしも何かをやり遂げて表彰台に上がったら、どんな気持ちになるか、想像して書いてみるのはどうでしょうか。
また、戦争や災害について書かれた本を読み、もしもそんな大変な目にあったら、自分ならどう思うだろうか、どんな行動をするだろうかと、想像して書いてみます。
こういったことを、読書感想文のまん中あたりや、後半に書くのももちろんいいのですが、最初に持ってくるのも、おもしろい書き出しとなる場合があります。
登場人物に話しかける
読み終えた本の登場人物が、本当にいるように感じられることがあると思います。その人に向けて、話しかけるとしたら、何を言いたいでしょうか。または、その人に手紙を書くとしたら、何を書きたいでしょうか。
それを、読書感想文の書き出しとします。とても印象的な書き出しとなる場合があります。
ロボ、どうしてひつじを、食べるぶんだけでなく、たくさんころしたの。
書き出しの一文、または最初の段落だけを、登場人物に話しかける文章にして、続きは普通の文章にもどしてもいいですし、読書感想文の最初から最後まで、登場人物に話しかける、または手紙を書くような文章でまとめる方法もあります。
読書感想文を初めて書く1~2年生の方は、この、登場人物に話しかける、または手紙を書くような調子にすると書き進めやすいかもしれません。
自分の体験談から書き出す
夏休みに、母が入院しました。父と姉とわたしにとって、母がいない家で何日もすごすのは、初めてのことでした。
読書感想文なのに、自分の夏休みのできごとについて書きます。これを、例えば家族の大切さをえがいた本の、読書感想文の書き出しとします。
きのう、プールの帰りにバス停で100円玉をひろいました。
ほとんど日記ですね。あれ、読書感想文のはずなのに? と、読んでくださる先生の意表を突くことができるでしょう。ここから、本の内容にどうからめていくかが腕の見せどころです。
きのう、プールの帰りにバス停で100円玉をひろいました。一しゅん、どうしようかまよいました。目の前にはジュースの自動はん売機があります。のどがかわいたなあ、と思いました。
その時ぼくは、この前読んだ「くもの糸」のことを思い出しました。カンダタは、クモが地面をはっているのを見つけ、足を上げました。人をころすことさえ何とも思わない悪人です。ましてや、クモをふみつぶすなど、カンダタにとって何でもないことでした。
読書感想文は、本について書くようでいて、実は自分のことを書きます。本は、自分について考えるきっかけをくれるものです。
ですから、思い切って自分の体験談から書き出すと、あらすじばっかりにならずに、いい読書感想文を書き進めやすいと思います。
物語の続きを考える
本を読み終えると、物語はおしまいになりますが、今ごろ主人公はどうしているかな? と続きが気になることがよくあると思います。それを想像して書き出しとします。
おもしろい本を読み終えた後の、余韻(よいん)にひたっている感じで、味わい深い書き出しができることがあります。
ここはアフリカの草原。あつくかわいた風がふき、子どもたちのわらい声が聞こえてきます。
「よかった。今日もみんな、楽しそうにあそんでいる。げんきにあそんで、大きく、強くなるんだよ。」
エルフはもう、子どもたちとあそぶことはできません。でも、エルフの心はおだやかで、しみじみと満足しています。
最後の場面から、主人公になりきって、イメージをふくらませています。
物語の続きを想像した内容は、読書感想文の後半か最後に持ってくるのが普通かもしれませんが、あえて書き出しに持ってくるわけです。
読書感想文の書き出し方・まとめ
いろんな読書感想文の書き出し方を、例文をあげて紹介しました。
- 本と出会ったきっかけについて書く
- 心に残った文章やせりふをぬき出して書く
これが、比較的思いつきやすくて、続きも書きやすい、おすすめの書き出しです。
続きはどう書くか
さて、書き出しが決まったとします。続きを書いていこうとするものの、何を書いたらいいのかわからず、頭が真っ白になってしまう…そんな経験はありませんか?
また、書き出しと、読書感想文の終わりの方に書くことが、まったくちぐはぐになってしまうことも、よくあります。
例えば、最初の方で「良い行いは見返りを求めずにするものだ」という意味の文章を本からぬき出したのに、感想を書いているうちに考えがぶれていき、最後には「人に何かしてもらったら恩返しをしたい」という文章でしめてしまう。というようなことが、ありがちです。
そこで、「結論を先に決めておく」という方法を提案したいと思います。これで書き出しと結末のちぐはぐ問題が解決するのではないかと思います。
【書き出しの例】学校で習った「モチモチの木」と同じ人が書いた本だよ、とお母さんが言うのを聞いて、この本を読んでみたいと思いました。
【結論の例】これからは、心の中の花さき山に、花をたくさんさかせたいです。
この間を、「本のどの部分を読んでどう思ったか」「もし自分だったらどうしただろうか」「本の中で好きな部分について、こんなことを想像した」こういったことを考えて、文章にしてうめていきます。
結論にはどんなことを書いたらいいのか、簡単に説明しますと、本を読んで、
- 知らなかったことを知った
- 今までより深く考えた
- 新しい疑問がわき調べてみたいと思った
- 好きだったものがますます好きになった
- 苦手だったことに挑戦してみようと思えた
こういったことを、読書感想文の結論として書くと、まとめやすいと思います。
あくまでも、まとめやすいということで、書き出しも結論も本当は自由です。読書感想文の書き方を一通り理解した後は、この記事に書いたような型をやぶって、自分の世界を自由に表現する楽しさを見つけてほしいと思います。
読書感想文を書くのはむずかしいものですが、頭をたくさんひねる、いい勉強になると思いますので、がんばって挑戦してみましょう!
小学生の読書感想文におすすめの本を紹介した記事も、よろしければお読みください。