動物の名前が入っている慣用句・ことわざ・故事成語
意味と例文の見方
魚
さかなの慣用句
鰻登り うなぎのぼり
意味:ぐんぐん上がること。
例文①:その芸人のYouTubeチャンネル登録者数はうなぎ登りだった。
例文②:新製品の売り上げがうなぎ登りで社員一同喜んでいる。
鯖を読む さばをよむ
意味:都合よく数をごまかすこと。
例文①:アイドルが年齢を20才も鯖を読んでいたのにはおどろいた。
例文②:あの商人からものを買うときは、鯖を読まれないように気をつけるがいい。
まな板の鯉 まないたのこい
意味:相手のなすがままになること。
例文①:お客さまから厳しい批判を受け、まな板の鯉の気分を味わう。
例文②:魔術師が魔法を封じられてはまな板の鯉、なすすべもなく倒されてしまった。
水を得た魚 みずをえたうお
意味:自分の長所を生かせる場所で生き生きしている様子。
例文①:タカシは得意科目になると水を得た魚のようにスラスラと問題を解いた。
例文②:教室での様子と打って変わって、サッカー場を走り回る姿はまるで水を得た魚だね。
さかなのことわざ
鰯の頭も信心から いわしのあたまもしんじんから
意味:価値(かち)のないものも、それを信じている人にとっては尊い(とうとい)ものに思えるものだということ。
例文①:鰯の頭も信心からというのだろうか、祖父は山からくんできた水を薬と言って毎日ありがたがって飲んでいる。
例文②:鰯の頭も信心からというし、風邪ぎみだからと首にネギを巻く母を止めないでおいてあげよう。
魚心あれば水心 うおごころあればみずごころ
意味:相手が好意を示す(しめす)なら、こちらも好意を示そうということ。
例文①:魚心あれば水心ですから、良い提案にはそれなりの見返りをさせていただきますよ。
例文②:親切な人だと思っていたら、魚心あれば水心を求めていただけのようでがっかりした。
海老で鯛を釣る えびでたいをつる
意味:わずかな元手で大きな利益(りえき)を得ようとすること。
例文①:小さな人助けが、やがて海老で鯛を釣る結果になるとは思ってもみなかった。
例文②:そんなプレゼントであの人の気を引こうなんて、海老で鯛を釣ろうとするようなものだ。
腐っても鯛 くさってもたい
意味:本当に良いものは、たとえ少し悪くなってもそれなりの価値(かち)を保つということ。
例文①:腐っても鯛というように、むかしモデルをしていた祖母の立ち姿は今でも美しい。
例文②:腐っても鯛だからと、姉は高級ブランドの中古品を買って喜んでいる。
逃がした魚は大きい にがしたさかなはおおきい
意味:手に入れかけてにがしたものは、実際(じっさい)よりも価値(かち)があるように思えるということ。
例文①:逃がした魚は大きいということだろうか、あの学校を選んでいたらもっと有意義にすごせたのではないかと悔やむときがある。
例文②:逃がした魚は大きいというから、大手柄を立てる目前だったという彼の話は半分に聞いた方がいい。
さかなの故事成語
木に寄りて魚を求む きによりてうおをもとむ
意味:まちがった方法で成果を得ようとしてもむだだということ。
例文①:いくらものを配っても、木に寄りて魚を求むようなもので、人からの信頼を手に入れることはできないだろう。
例文②:熱心に練習しても自己流では、木に寄りて魚を求むようなことになりかねない。
鯉の滝登り こいのたきのぼり
意味:急に立身出世(りっしんしゅっせ)すること。
例文①:父の出世のスピードは周囲に鯉の滝登りと言われるほどだった。
例文②:彼女は6才で将棋(しょうぎ)を始めると鯉の滝登りのように昇段した。
水魚の交わり すいぎょのまじわり
意味:おたがいになくてはならない親しい関係のこと。
例文①:彼とは長いつきあいで水魚の交わりとすらいえる関係だ。
例文②:二人は意気投合し、やがて水魚の交わりといえる仲になった。
さる
さるの慣用句
猿芝居 さるしばい
意味:すぐにばれるような見えすいたたくらみ。
例文①:猿芝居でごまかそうとせず、素直にあやまった方がいい。
例文②:仲のいい家族を装う猿芝居はすぐにぼろを出した。
猿知恵 さるぢえ
意味:一見利口そうだが、実は浅はかな考え。
例文①:そんな猿知恵で、このわたしを出し抜こうとするとは笑止千万。
例文②:深く考えて提案しないと、猿知恵と言われてしまうよ。
猿真似 さるまね
意味:うわべだけで人の真似(まね)をすること。
例文①:受賞作は、有名な作品の猿真似をしたデザインだったことが発覚した。
例文②:猿真似ではなく自分のアイディアで勝負したい。
さるのことわざ
犬猿の仲 けんえんのなか
意味:とても仲が悪いこと。
例文①:犬猿の仲だったが姉と弟が、ピンチの時には協力しあった。
例文②:クラスに犬猿の仲の相手がいて居心地が悪い。
猿も木から落ちる さるもきからおちる
意味:どんな名人も、時には失敗することがあるということ。
例文①:あの人がシュートをはずすなんて、猿も木から落ちるということがあるんだね。
例文②:猿も木から落ちるというように、国語の先生も漢字をまちがえることがある。
「猿も木から落ちる」と似た意味のことわざには「かっぱの川流れ」「弘法にも筆の誤り」といったものがありますよ。
見ざる聞かざる言わざる みざるきかざるいわざる
意味:余計(よけい)なことは見たり、聞いたり、言ったりしないほうがいいということ。
例文①:この組織では、何か不思議なことがあっても、見ざる聞かざる言わざるが鉄則だ。
例文②:先生が居眠りしているが、見ざる聞かざる言わざるの精神で注意しない方がいいだろうか。
とら
とらの慣用句
虎の子 とらのこ
意味:大事に持っているもの。
例文①:わたしが一人ぐらしを始めるとき、母は虎の子のへそくりをわたしてくれた。
例文②:祖母は虎の子の着物を売って生活費を作った。
張り子の虎 はりこのとら
意味:実力もないのにえらそうにしている人。
例文①:仕事の経験もないのに社長の息子だからといばっていたら、張り子の虎と言われてしまうよ。
例文②:張り子の虎と言われないように、人一倍成果を出す。
とらの故事成語
虎穴に入らずんば虎児を得ず こけつにいらずんばこじをえず
意味:危険(きけん)をおかさなければ、欲しい(ほしい)ものは手に入らないということ。
例文①:時には虎穴に入らずんば虎子を得ずの精神でリスクのあることにチャレンジしてみたい。
例文②:虎穴に入らずんば虎子を得ずとはいうが、いま戦争をしている地域に取材に行くのは無茶というものだ。
虎視眈耽 こしたんたん
意味:じっとチャンスをうかがうこと。
例文①:彼は反撃のきっかけを虎視眈々とうかがっていた。
例文②:目立つ動きをせず虎視眈々とチャンスをうかがっていた彼が最後には勝ち残った。
前門の虎、後門の狼 ぜんもんのとら、こうもんのおおかみ
意味:災難(さいなん)を逃れてほっとする間もなく、次の災難に見まわれること。※意味が似ていることわざ=一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)
例文①:災害の避難先で火事が起こるなんて、まさに前門の虎、後門の狼だ。
例文②:前門の虎、後門の狼というような災難に相次いで見舞われた大変な一年だった。
虎の威を借る狐 とらのいをかるきつね
意味:自分には力がないのに、強い人の力を借りていばる人のこと。
例文①:姉といっしょのときだけ強気になる彼女は、虎の威を借る狐といわれてもしょうがない。
例文②:あの子のような虎の威を借る狐は、一人になるとおとなしいものだ。
虎の尾を踏む とらのおをふむ
意味:とても危険(きけん)なことをすること。
例文①:熱狂的なファンにアイドルの悪口を言うなんて、虎の尾を踏むようなものだ。
例文②:気難しい社長に意見するなんて、虎の尾を踏むようなまねはしない方がいい。
虎の巻 とらのまき
意味:①秘伝(ひでん)が書かれた本 ②教科書の解説書(かいせつしょ)
例文①:これさえ読めば初心者も安心というキャンプの虎の巻がある。
例文②:この虎の巻はテスト勉強になくてはならないものだ。
虎は死して皮を留め、人は死して名を残す とらはししてかわをとどめ、ひとはししてなをのこす
意味:トラが死後に美しい毛皮を残すように、人は死後に名前を残すような生き方をするべきだということ。
例文:虎は死して皮を留め、人は死して名を残すという言葉どおり、先生は大きな功績を残してこの世を去った。
鳥
とりの慣用句
足元から鳥が立つ あしもとからとりがたつ
意味:①身近なところで思いがけないことが起こること。 ②あわてて物事を始めること。
例文①:家にこもっている妻が急に起業すると言い出し、足元から鳥が立つ思いだ。
例文②:帰省していた孫たちは足元から鳥が立つように帰っていった。
今泣いたからすがもう笑う いまないたからすがもうわらう
意味:今まで泣いていたのに、もうきげんを直して笑っていること。
例文①:泣いている子におかしをあげたら、今泣いたからすがもう笑っている。
例文②:今泣いたからすがもう笑ってるんだから、あの子の気持ちは変わりやすい。
鵜呑みにする うのみにする
意味:人の言うことをよく考えずにそのまま信じること。
例文①:もうけ話を鵜吞みにしてだまされる。
例文②:デマを鵜呑みにしてSNSで広めてしまった。
鵜の目鷹の目 うのめたかのめ
意味:えものをねらうようなするどい目つき。
例文①:だまされやすそうな人を鵜の目鷹の目で狙っているやからがいるから気をつけて。
例文②:バーゲンセールで掘り出しものを鵜の目鷹の目で探す。
おうむ返し おうむがえし
意味:相手の言葉をそのまま言い返すこと。
例文①:英語のレッスンで先生の言葉をおうむ返しに復唱する。
例文②:相手はおうむ返しばかりで会話は発展しなかった。
籠の鳥 かごのとり
意味:自由を奪われているもののこと。
例文①:厳しい寮生活で籠の鳥になった気分だ。
例文②:籠の鳥だったお姫様がその日初めて外の世界に羽ばたいた。
からすの行水 からすのぎょうずい
意味:入浴時間がとても短いこと。
例文①:兄はせっかちで、お風呂はいつもからすの行水だ。
例文②:からすの行水では体が温まらないから、ゆっくりと湯船につかりなさい。
閑古鳥が鳴く かんこどりがなく
意味:人気(ひとけ)がなく、ひっそりして活気がない様子。
例文①:かつては週末ごとに家族連れでにぎわったショッピングモールも今では閑古鳥が鳴いている。
例文②:店は閑古鳥が鳴いているが、むかしなじみの客のために営業を続けている。
雀の涙 すずめのなみだ
意味:とても少ないこと。
例文①:フリーマーケットに出店してみたが、売り上げは雀の涙だった。
例文②:おわんには雀の涙ほどのおかゆが入っていた。
鶴の一声 つるのひとこえ
意味:みんなで相談してもなかなか決まらないことが、力のある人のたった一言で決まること。
例文①:結局社長の鶴の一声で決まるんだから、みんなで相談してもしょうがない。
例文②:家族旅行の行き先を決めかねていると、母の鶴の一声で北海道に決まった。
飛ぶ鳥を落とす勢い とぶとりをおとすいきおい
意味:勢い(いきおい)が盛ん(さかん)なこと。
例文①:新しいアーティストが飛ぶ鳥を落とす勢いでヒットチャートをかけ上った。
例文②:去年の今ごろは飛ぶ鳥を落とす勢いだったあの芸人を最近見かけない。
鳩が豆鉄砲を食ったよう はとがまめでっぽうをくったよう
意味:おどろいてきょとんとしている様子。
例文①:彼は思いがけない人から反論されて、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
例文②:サプライズプレゼントを渡されて、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
目白押し めじろおし
意味:人やものがぎっしりと多く並ぶ(ならぶ)こと。
例文①:バーゲンの本日、店内はお買い得商品が目白押しですよ。
例文②:神社の境内は初もうで客で目白押しだった。
とりのことわざ
一富士二鷹三茄子 いちふじにたかさんなすび
意味:初夢(はつゆめ)に見るとえんぎがいいと言われているもの。一番が富士山、二番がタカ、三番がナス。
例文:一富士二鷹三茄子の初夢を一度でいいから見てみたい。
鵜の真似をするからす うのまねをするからす
意味:すぐれた人の真似(まね)をして失敗すること。
例文①:あの人と同じようにやろうとしても、鵜の真似をするからすになるのが関の山だからやめておきなさい。
例文②:オリンピック選手と同じメニューで練習しようとしてケガをするなんて、鵜の真似をするからすになってしまった。
鴨が葱をしょってくる かもがねぎをしょってくる
意味:利用される立場の者が、さらに都合のいいものを持ってくること。※カモがネギをしょってきたら、つかまえればすぐに「カモなべ」を作って食べることができるので、カモを食べようとする者にとって都合がいいということ。
例文①:闇(やみ)バイトとも知らずに友達まで連れてくるとは、鴨が葱をしょってきたとはこのことだ。
例文②:移動手段がなくピンチだったところへ車でのこのこ現れるなんて、鴨が葱をしょってきてくれて助かったよ。
雉も鳴かずば撃たれまい きじもなかずばうたれまい
意味:余計(よけい)なことを言ったせいで災難(さいなん)にあうこと。
例文①:雉も鳴かずば撃たれまいというのに、あいつは正しいと思ったことは言わないと気がすまないたちだからな。
例文②:雉も鳴かずば撃たれまいという言葉もあるから、見て見ぬふりでおとなしくしていよう。
雀百まで踊り忘れず すずめひゃくまでおどりわすれず
意味:幼い(おさない)ころに身につけた悪い習慣は一生忘れない(わすれない)ということ。
例文①:三十年ぶりに会った友達はあいかわらずお調子者で、雀百まで踊り忘れずとはよく言ったものだ。
例文②:雀百まで踊り忘れずというから、あの人のくせはこれからも直らないだろう。
立つ鳥跡をにごさず たつとりあとをにごさず
意味:立ち去る時はきれいに後始末をしておこうということ。
例文①:立つ鳥跡をにごさずという言葉があるように、泊まった部屋はきれいに掃除をしてから立ち去ろう。
例文②:立つ鳥跡を濁さずで、卒業前に委員会の仕事をきちんと終わらせてから下級生に引きつぎたい。
鶴は千年、亀は万年 つるはせんねん、かめはまんねん
意味:長生きでめでたいこと。
例文①:鶴は千年、亀は万年というように、この会が末永く続くことを願っています。
例文②:鶴は千年、亀は万年という言葉どおりこれからも元気で長生きしてください。
鳥なき里のこうもり とりなきさとのこうもり
意味:強い者がいないところで、たいしたことのない者がいばっていること。
例文①:あいつは急に仕切りだして、鳥なき里のこうもりにしか見えない。
例文②:先輩が卒業した今、鳥なき里のこうもりたちがさわいでいる。
鳶が鷹を生む とんびがたかをうむ
意味:平凡(へいぼん)な親から優れた(すぐれた)子供がうまれること。
例文①:兄が東大に入り、鳶が鷹を生んだと親せきじゅうの話題になった。
例文②:鳶が鷹を生んだと言う人もいるが、実は両親が非凡な人だったのだ。
鳶に油揚げをさらわれる とんびにあぶらあげをさらわれる
意味:大事なものを、急に横取りされること。
例文①:ライバルを倒し優勝を手に入れたかと思ったが、マークしていなかった敵が現れ、鳶に油揚げをさらわれてしまった。
例文②:鳶に油揚げをさらわれないように、目当ての賞品から目を離さないようにしよう。
能ある鷹は爪を隠す のうあるたかはつめをかくす
意味:優れた(すぐれた)力を持つ者は、それをむやみに見せびらかしたりしないものだということ。
例文①:能ある鷹は爪を隠すというように、成績上位者ほど普段は目立たないものだ。
例文②:あの人はえらい教授なのに気さくで、能ある鷹は爪を隠すという言葉がぴったりだ。
掃き溜めに鶴 はきだめにつる
意味:つまらないところに、その場に合わないすぐれた者がいること。
例文①:路地裏に現れた彼女の姿は、掃き溜めに鶴という形容がふさわしかった。
例文②:君のように品行方正な人がこんな刑務所にいるなんて、掃き溜めに鶴のようで不思議だ。
とりの故事成語
烏合の衆 うごうのしゅう
意味:規律(きりつ)のない寄せ集めただけの集団。※烏(からす)と鳥(とり)の漢字の違いに注意しましょう。
例文①:大会前に寄せ集めただけの烏合の衆に、小さい頃からチームで切磋琢磨してきたぼくたちが負けるわけにはいかない。
例文②:一揆に参加した人数は多かったが、ほとんどが農民を寄せ集めた烏合の衆だった。
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