動物の名前が入っている慣用句・ことわざ・故事成語
動物の名前が入っている、慣用句、ことわざ、故事成語を約150集め、意味、例文とともに掲載しています。鬼、河童など、空想上の生き物も含めています。
例文は、小学校高学年から中学生ぐらいの方にもわかりやすいように、あまり難しい言葉は使わずに考えました。
自主学習のヒントにしていただけるとうれしいです。
このページは時々内容を見直して改稿しています。最終更新日は2022年4月4日です。(意味と例文をたくさん追加し、長くなりすぎたので4ページに分けました。項目の移動にはもくじをご利用いただくと便利です)
自主学習ノートへの利用例
例えば、こんな自主学習ノート作りをしてみてはいかがでしょうか。
- 言葉集め…(例)「魚」が入った言葉をたくさん集めて自主学習ノートに書く。
- 辞書引き…(例)「犬」が入った言葉を集めて、辞書で意味を調べ、書く。
- 例文作り…(例)「鳥」が入った言葉を集めて、例文を考えて書く。
慣用句、ことわざ、故事成語にわけて書きましたが、この分類は、受験研究社「小学 自由自在Pocket ことわざ・四字熟語」を参考にしました。
意味と例文の見方
犬
犬の慣用句
負け犬の遠ぼえ まけいぬのとおぼえ
意味:おくびょう者が、かげではいせいよく悪口を言うこと。
例文①:自分が負けた相手を悪く言っても負け犬の遠ぼえにしか聞こえないよ。
例文②:面と向かって批判できないのなら負け犬の遠ぼえと思われてもしょうがない。
飼い犬に手をかまれる かいいぬにてをかまれる
意味:めんどうをみてきた相手から、思いがけず裏切られる(うらぎられる)こと。
例文①:仕事のやり方を教えてあげた人にお客さんをうばわれて、飼い犬に手をかまれた気分だ。
例文②:後輩をかわいがるのもいいけど、飼い犬に手をかまれることもあるから気をつけた方がいい。
犬のことわざ
犬が西向きゃ尾は東 いぬがにしむきゃおはひがし
意味:わかりきった当たり前のこと。
例文①:冬にかき氷が売れないなんて、犬が西向きゃ尾は東というぐらいわかりきったことだ。
例文②:犬が西向きゃ尾は東、食べすぎたら太るのは当然のことだ。
犬も歩けば棒にあたる いぬもあるけばぼうにあたる
意味:①余計なことをしてひどい目にあうことのたとえ。②思いがけない良いことがあることのたとえ。
例文①:用もないのに出歩いていたら車にはねられて、犬も歩けばぼうに当たるという言葉どおりになってしまった。
例文②:犬も歩けばぼうに当たるという言葉をあてにして、いろんな会合に顔を出すようにしている。
犬猿の仲 けんえんのなか
意味:とても仲が悪いこと。
例文①:ふだんは犬猿の仲の姉弟だが、ピンチの時は協力し合う。
例文②:犬猿の仲の相手と同じクラスになってゆううつだ。
夫婦喧嘩は犬も食わない ふうふげんかはいぬもくわない
意味:夫婦げんかに他人は口出しせず、放っておけばすぐ仲直りするものだということ。
例文:夫婦喧嘩は犬も食わないとは言うとおり、さっき言い争っていたあの二人はもうイチャイチャしている。
犬の故事成語
羊頭狗肉 ようとうくにく
意味:見かけはいいが、実際はおとっていること。
例文①:インターネットショッピングは実際に手に取って商品を確認することができず、届いた品物が羊頭狗肉ということがある。
例文②:あの新人は第一印象が良くて期待したのに羊頭狗肉だった。
牛
牛の慣用句
牛の歩み うしのあゆみ
意味:進行がおそいこと。
例文①:スポーツを始めて、上達は牛の歩みだが楽しんでいる。
例文②:仕事の進み具合は牛の歩みでしめ切りに間に合いそうにない。
牛のことわざ
牛に引かれて善光寺参り うしにひかれてぜんこうじまいり
意味:人のさそいやぐうぜんに導(みちび)かれて、良い行いをするようになること。
例文:家族のつきそいで行った美術館が、その後一生の仕事となる絵との出会いだった。牛に引かれて善光寺参りとはこのことだろうか。
角をためて牛を殺す つのをためてうしをころす
意味:小さな欠点をなおそうとして、かえって全体をだめにしてしまうこと。
例文①:あの選手のフォームには気になる点があるが、角をためて牛を殺すことにならないよう、余計なアドバイスをせずにこのまま成長を見守ろう。
例文②:しつけが厳しすぎると、角をためて牛を殺すようなことになりかねないというのがおじの考えだ。
牛の故事成語
九牛の一毛 きゅうぎゅうのいちもう
意味:たくさんあるうちの、ほんの少しのこと。
例文①:この計画は圧倒的に支持されていて、反対する者がいるとしても九牛の一毛にすぎない。
例文②:その程度のミスなら九牛の一毛だから、気にせずスピード重視で作業してください。
牛耳る ぎゅうじる
意味:組織(そしき)を自分の思い通りに動かすこと。
例文①:おれはこの町を牛耳るギャングの一員になった。
例文②:あんな人間にこの学園を牛耳られてだまっているわけにはいかない。
鶏口となるも牛後となるなかれ けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ
意味:小さな集団の長になる方が、大きな集団の下っぱでいるよりましだということ。
例文:鶏口となるも牛後となるなかれという信念をもって、彼はサラリーマンをやめて起業した。
馬
馬の慣用句
生き馬の目をぬく いきうまのめをぬく
意味:人を出しぬいて得をすること。また、まったく油断(ゆだん)できないこと。
例文①:生き馬の目を抜くような世界では強さだけでは生きていけない。
例文②:美術品のオークションで生き馬の目を抜くようなかけ引きがくり広げられる。
馬が合う うまがあう
意味:気があうこと。
例文①:人見知りな少年は、そのおじいさんとだけは不思議と馬が合った。
例文②:ぼくとサトシは最高に馬が合う親友同士だ。
尻馬に乗る しりうまにのる
意味:人の言動につられて、考えなしに行動すること。
例文①:人の尻馬に乗って強敵に戦いをいどんだ結果がこの惨敗(ざんぱい)だ。
例文②:おじはインフルエンサーの尻馬に乗って投資に手を出した。
野次馬 やじうま
意味:自分には関係ないのに、さわぎたてる人。
例文①:けんかをしている本人同士よりも野次馬たちがさわぎを大きくしていた。
例文②:わざわざ事故現場を見に行くなんて、姉の野次馬根性にはあきれてしまう。
馬のことわざ
馬の耳に念仏 うまのみみにねんぶつ
意味:忠告(ちゅうこく)をしても、聞く耳を持たないこと。
例文①:演説の内容はむずかしすぎて人々には馬の耳に念仏だった。
例文②:母はどう見てもあやしい健康法を信じ切っていて、家族が何を言っても馬の耳に念仏だ。
ひょうたんから駒 ひょうたんからこま
意味:思いがけないことが現実に起こること。※駒(こま)は馬のこと。
例文①:まさか君とこんなところで再会するなんて、ひょうたんから駒とはこのことだな。
例文②:もらった宝くじが当たるなんて、まさにひょうたんから駒だ。
馬子にも衣装 まごにもいしょう
意味:良い服装(ふくそう)をすれば、だれでも立派(りっぱ)に見えるということ。
例文①:馬子にも衣装というけれど、君もドレスを着たらまるでお姫様だね。
例文②:彼は馬子にも衣装のスーツに身を包み、勇んでイベント会場へ向かった。
馬の故事成語
塞翁が馬 さいおうがうま
意味:幸せや不幸は、予想することができないということ。=人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)
例文①:人間万事塞翁が馬、幸せな時こそつつましくありたい。
例文②:今までの人生山あり谷ありで、本当に塞翁が馬だった。
将を射んと欲すればまず馬を射よ しょうをいんとほっすればまずうまをいよ
意味:大きなものを手にいれるためには、周りにあるものからねらうべきだということ。
例文:将を射んと欲すればまず馬を射よというように、攻略する順番を考えることが大事だ。
竹馬の友 ちくばのとも
意味:幼(おさな)なじみ。
例文①:中学入学で竹馬の友と初めて別の道を歩むことになった。
例文②:わたしとサトルは家がとなり同士の竹馬の友だ。
天高く馬肥ゆる秋 てんたかくうまこゆるあき
意味:気候のいい秋を表す言葉。
例文①:天高く馬肥ゆる秋、みなさまお元気におすごしでしょうか。(手紙のあいさつ)
例文②:天高く馬肥ゆる秋、わたしの食欲も止まりません。
南船北馬 なんせんほくば
意味:いそがしくあちこちへ行くこと。
例文①:バンドが全国ツアーで南船北馬する。
例文②:トラブルをおさめるために南船北馬したが無駄骨に終わった。
馬脚をあらわす ばきゃくをあらわす
意味:かくしていた欠点がばれること。
例文①:彼女はお嬢様(おじょうさま)のようにふるまっていたが、やがて馬脚をあらわした。
例文②:君が犯人じゃないかとにらんでいたが、ついに馬脚をあらわしたな。
馬耳東風 ばじとうふう
意味:うわさや人の忠告(ちゅうこく)を気にとめず、聞き流すこと。
例文①:両親の小言も彼の耳には馬耳東風で、ゲームばかりしている。
例文②:悪いうわさを馬耳東風と聞き流すのは難しい。
↓こちらのページで馬がつく言葉を集める自学ノートの例をご紹介しています。
おに
おにの慣用句
鬼が出るか蛇が出るか おにがでるかじゃがでるか
意味:この先どんな苦難(くなん)が待っているかわからないこと。
例文①:この洞窟(どうくつ)にはだれも入ったことがないが、鬼が出るか蛇が出るか、行ってやろうじゃないか。
例文②:この先は鬼が出るか蛇が出るか、引き返すなら今のうちだぜ。
鬼が笑う おにがわらう
意味:まだわからない先のことを心配する人をからかう言葉。=来年のことを言うと鬼が笑う(らいねんのことをいうとおにがわらう)
例文①:鬼が笑うと言われるかもしれないが、今から老後のことを考えている。
例文②:誕生日が来たばかりなのに、もう来年の誕生日のプレゼントの話をするなんて鬼が笑うよ。
鬼の首を取ったよう おにのくびをとったよう
意味:すごい手がらを立てたかのように得意(とくい)がったり、人を責めたりすること。
例文①:お手伝いをさぼった兄のことを、弟が鬼の首を取ったように責めた。
例文②:妹はババぬきで勝ち、鬼の首を取ったかのような顔をしていた。
鬼気迫る ききせまる
意味:ぞっとするようなおそろしい気配が感じられること。
例文①:大事なテストが近いため、姉は鬼気迫る勢いで勉強をしている。
例文②:マウンドに立つ投手の表情には鬼気迫るものがあった。
心を鬼にする こころをおににする
意味:相手のためにあえて厳しく(きびしく)すること。
例文①:父は心を鬼にして受験生の息子のゲーム機を金庫に入れた。
例文②:コーチは心を鬼にして厳しいトレーニングを課した。
おにのことわざ
鬼に金棒 おににかなぼう
意味:もともと強い者が、さらに強化されるようなこと。
例文①:首位のチームに最強の助っ人が入団するとは鬼に金棒だ。
例文②:うでのいい料理人に切れ味のいい包丁があれば鬼に金棒だ。
鬼の居ぬ間に洗濯 おにのいぬまにせんたく
意味:厳しい(きびしい)人がいない間に、のんびりしようということ。
例文①:コーチがいない自主練習の日は鬼のいぬ間に洗濯で、のびのびやりましょう。
例文②:一人で留守番の今日は宿題もそっちのけで鬼の居ぬ間に洗濯を決めこむ。
鬼のかく乱 おにのかくらん
意味:いつも元気な人が、めずらしく病気になること。
例文①:だれよりも威勢がいいあの人が頭痛で休むなんて、鬼のかく乱だ。
例文②:熱を出した母を鬼のかく乱と笑っていたが、その日のうちに入院となってしまった。
鬼の目にも涙 おにのめにもなみだ
意味:いつもはこわい人が、優しい感情を表すこと。
例文①:映画をみてまさかあの先輩が泣くなんて、鬼の目にも涙だね。
例文②:鬼の目にも涙という光景に、いつも無表情な男の目にも光るものがあった。
鬼も十八、番茶も出花 おにもじゅうはち、ばんちゃもでばな
意味:どんな女性でも十八才くらいの年ごろになると美しくなるということ。
例文:鬼も十八、番茶も出花というけれど、あの子もきれいになったものだ。
わたる世間に鬼はない わたるせけんにおにはない
意味:世の中には、親切で心の温かい人も必ずいるということ。
例文①:困っていたところを見ず知らずの方に助けていただき、わたる世間に鬼はないということを実感しました。
例文②:新生活に不安はあるが、わたる世間に鬼はないというから思い切ってやってみよう。
おにの故事成語
疑心暗鬼 ぎしんあんき
意味:何もかもが疑わしく(うたがわしく)思えること。
例文①:いい話には裏があるのではないかと疑心暗鬼になってしまう。
例文②:部屋にいる全員が疑心暗鬼におちいっていた。
神出鬼没 しんしゅつきぼつ
意味:あちこちに現れたり(あらわれたり)消えたりして、どこにいるのかわからないこと。
例文①:あちこちで彼女を見かけたといううわさがあり、あいかわらず神出鬼没ぶりを発揮しているようだ。
例文②:あの人は神出鬼没で会う約束をするのはむずかしい。
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